LESSON 01–01

なぜ、そもそもインスピレーションなのか?

まだ言葉にならない感覚が、自分だけの選択肢へ変わり始めます。

こんにちは、堀内です。

『インスピレーション』というと、どんなイメージが浮かびますか?

「ひらめきは面白そう。でも、つかみどころがない」
「理由もはっきりしない感覚を、大切なことに使っていいの?」

そんな疑問を持つ方もいると思います。

それでも、新しい仕事や表現、これまでとは違う生き方を思い描くとき、「なぜか気になる」「こんなことをしてみたい」という感覚が浮かぶことがあります。

まだ根拠を説明できないその感覚には、どんな意味があるのでしょうか。

理由が分かってから、動きたい

何かを始めるなら、情報を集め、過去の事例を調べ、うまくいく理由を考える。大切なことほど、そうしたくなりますよね。

データや分析は、選択肢を比べたり、見落としていたことに気づいたりする助けになります。

ただ、まだ形にもなっていないアイデアは、どうでしょう。

「なぜやりたいのか、説明できてから」と待っているうちに、気になっていたことを、そのままにしてしまうこともあります。

形にしてみることで、分かることがある

理由が分かるのを待つだけでなく、ふと浮かんだ感覚を、確かめられる形にしてみる

そんな順番があってもいいのです。

インスピレーションは、まだ言葉になっていない興味や可能性に気づく手がかりになります。

その段階で正解かどうかを決めず、いったん言葉や形にしてみる。すると、頭の中にあったときには分からなかったことを、見たり、考えたりできるようになります。

感覚から始まったものを、育てていく

僕は、長年にわたり『インスピレーション力』を、日常や仕事で使える形へ体系化してきました。

うまくいっていたセッションの中で、僕は実際に何をしていたのか。それを約130の手順まで分解しました。

そこから、参加者の反応や実践結果を見ながら、ほかの人も学び、使える方法へまとめてきたのです。

感覚的に行っていたことも、言葉や手順にすると、確かめたり、磨いたりすることができます

将棋棋士の羽生善治さんも、本人インタビューで、棋士の思考について「最初は『直感』を使います」と話しています。

まず直感で候補を絞り、そこから展開を読み、全体を見て方向を決める。直感と、考えることを組み合わせているのですね。

これまでの選択肢の、その先へ

「なぜか気になる」を、自分の選択肢に加えられたら、日々の仕事や暮らしはどう変わるでしょうか。

今ある仕事に、自分ならではの工夫が生まれるかもしれません。まだ言葉にできなかった思いが、作品や企画になっていくかもしれません。

すでにある選択肢から選ぶことに加えて、自分が進みたい方向を、少しずつ形にしていくこともできるのです。

最初は、気になったことをメモにする。アイデアの一部を試してみる。そのとき起きたこと、自分の感覚、相手の反応を見て、続けるか、変えるか、立ち止まるかを選んでいきます。

これから少しずつ、インスピレーションのつかみ方、磨き方、具体的なビジョンや行動へつなげる方法を、一つひとつお伝えしますね。

もし、もう少し考えてみたくなったら

何をメモするか迷ったら、今気になる問いを一つだけ選んでみてください。

  1. これから『インスピレーション力』に、なにを期待しますか?
  2. どんな変化や気づきを得たいでしょうか?
  3. それを得られたら、今後の人生にどのような変化がもたらされるでしょうか?

答えを提出する必要はありません。まだ言葉にならなければ、その問いを心に留めておくだけでも大丈夫です。

堀内恭隆

引用出典:日本銀行「にちぎん」No.47(2016年秋号)